美ヶ原高原の花々

美術館に咲く高山植物
標高2000メートルの美ヶ原高原は、亜高山帯に属していますが、2500メートル以上の高山帯に咲く高山植物も自生していることでも知られています。屋外展示場には春から秋にかけて可憐な花が咲きみだれ、一帯が高山植物の宝庫となります。美ヶ原高原全体では、およそ200種類もの高山植物が咲き競うといわれています。ここでは、屋外展示場で見られる代表的な花をご紹介していきます。尚、当美術館は国定公園内にあるため、草花の採取は固く禁じられています。高山植物の保護、育成にご協力ください。

ショウジョウバカマ
ユリ科 5月
館内で最も早く見られる花のひとつです。淡紫色の花が、美ヶ原高原の遅い春の訪れを感じさせてくれます。

シロバナノヘビイチゴ
バラ科 5月~7月
白く小さい花を咲かせ、夏に赤い実が熟します。ヘビイチゴと名がついていますが人が食べても害はありません。

アズマシャクナゲ
ツツジ科 6月
低木で、葉は革質、花の濃淡はさまざまですが、通常は薄桃色でツツジに似た合弁花を多数開きます。

キンポウゲ
キンポウゲ科 6月~7月
黄色い花をつけ群生します。根生葉が馬の蹄の跡に似ているのでウマノアシガタとも呼ばれています。

マイヅルソウ
ユリ科 6月~7月
小さな白い花をたくさん付けて群生します。2枚の葉を鶴が羽を広げて舞っている姿に見立ててこの名がつきました。

コケモモ
ツツジ科 6月~7月
小低木に薄桃色の釣鐘型の小さな花を咲かせます。秋に熟す赤い実は、ジャムや果実酒などに使われます。

ゴゼンタチバナ
ミズキ科 6月~7月
白い花に見える苞(ほう)の中心に小さな花を密集して咲かせます。葉が6枚のものにしか花はつきません。

レンゲツツジ
ツツジ科 6月~7月
低木に朱色の大型の花をつけます。花は有毒で放牧された牛が食べないので、高原一帯に群生しています。

テガタチドリ
ラン科 6月~7月
ピンク色の小さな花を多数、穂状につけます。根が手のひらのような形をしているのでこの名がつきました。

キバナノヤマオダマキ
キンポウゲ科 6月~7月
清楚な花を下向きにつけます。黄色のものをキバナノヤマオダマキ、褐紫色のものをヤマオダマキといいいます。

ハクサンフウロ
フウロソウ科 7月~8月
枝分かれした花柄にピンク色の花を多数上向きに咲かせます。高原の夏を飾る花として知られています。

ウツボグサ
シソ科 7月~8月
茎の先端に紫色の花をつけて、群生します。稀に白い花のシロバナウツボグサも見ることができます。

マルバダケブキ
キク科 7月~8月
上部が枝分かれして、数個の黄色い花をつけます。蕗のように丸い葉で、岳(山)にあるのでこの名がつきました。

カライトソウ
バラ科 7月~8月
ピンク色の小花を多数密生させた花穂をつけて首を垂れます。 雄しべが花の外側に長く突き出すのが特徴的です。

コオニユリ
ユリ科 7月~8月
朱色をした花は開花後、反転して鞠のような形になります。小型のオニユリということでこの名がつきました。

クガイソウ
ゴマノハグサ科 8月~9月
紫色の小花を穂状につけます。葉が何段にも輪生し、傘を重ねたように見えることから九蓋草と名がつきました。

ヤナギラン
アカバナ科 8月
直立した茎にピンク色の花を多数つけます。実は長いさやになり熟すと裂けて白い長い毛のある種子を飛ばします。

マツムシソウ
マツムシソウ科 8月~9月
初秋の美ヶ原高原を代表する花です。淡紫色の大型の花をつけて屋外展示場に大群落をつくります。

アキノキリンソウ
キク科 8月~9月
黄色い花を密生してつけます。ここでは、高山型のミヤマアキノキリンソウとどちらの種か迷うものもあります。

ハナイカリ
リンドウ科 8月~9月
花の基部に突起があり、その形が船の碇に似ているのでこの名がつきました。色の変化が面白い植物です。

ウメバチソウ
ユキノシタ科 8月~9月
直立した花茎に、白い5弁の花をつけます。花の形が天満宮の梅鉢紋に似ているのでこの名がつきました。

ヤマハハコ
キク科 8月~9月
葉の裏や茎には白い毛が多く、全体が白っぽく見えます。咲き終わるとドライフラワーのようになります。

オヤマリンドウ
リンドウ科 8月~9月
紫色した花は平開せず、閉じたままのように見えます。花の白いものは「シロバナオヤマリンドウ」です。